2015年12月1日火曜日

新緑の川

2015年5月

Nさんとの北関東での釣行。

自分は何度も通っている川。
今回はNさんを案内するべく、計画を立てた。

初日、早朝から雨降りにあう。
ザーザーと雨が本降りとなる中、古くからある仕事道を延々と2時間ほど歩く。
途中、目についた山椒の葉を採りながら他の山菜も探すが、目ぼしいものは見つからない。
雨は本降りからだんだんとシトシトといった感じの弱い雨に変わっていく。

目的の川は増水していないか?水温はどうだろう?
二人で気にしながらも黙々と歩いた。

入渓地点でしばしの休憩。Nさんにサンドイッチをごちそうになる。
ガーリックバターを塗ったバゲットにチーズとベーコンを乗せたシンプルなサンドイッチ。
これがとてもおいしい。次回の釣行から真似することにする。

入渓時点では気温は少し低め。
ひとまず竿を出して様子を見ることにする。
Nさんが早々に一匹目の岩魚を釣った。案内役としては一安心した。

   ネギを背負ったフライマン

渓相は最高と言っていい。増水の心配は無用だった。
一級ポイントを交互にフライを流すが、なぜか自分には一匹目が出ない。

フライが合っていないのか、それともドラグがかかっているのか。 両方か。
焦る気持ちを抑えて、慎重にフライを流す。
雨は降ったり止んだりを繰り返していた。

もっと岩魚が出てきていいはずだが、ここぞというポイントでもまったく反応がなかったりする。
Nさんと相談し、ひとまず雨が落ち着くまで休憩することにする。

休憩すること30分、雨も止んで日が差してきた。
いてもたってもいられず、ロッドを振ることにした。
すると、自分にも待望の一匹目が出た。型は7寸ほど。
大きくはないけど、最初の一匹はいつもうれしい。

そこから3時間ほど、難所もなく二人でゆっくりと釣り上がった。
少ないながらも、だんだんと釣れる岩魚も大きくなっていく。

新緑の中で

5月の新緑の中、 日がさすと川はキラキラとまぶしい。
釣れた岩魚もとてもきれいだった。
夢中になってロッドを振りながらも、木々の瑞々しさや川のきらめきに、ふと足を止めて見入ってしまう。
こんな時、釣りをしてきて本当に良かったと思う。そしてまたラインをリールから出してロッドを振りだす。

いくつかのプールが続いた後に、平坦ながらもゴロゴロとした大小いくつもの岩がひしめいている流れがあった。
この区間で自分は今回の釣行で一番の釣果を得る。


ここぞ、というポイントには必ず岩魚がいた。
一度食い損ねるも追い食いしてくる岩魚もいた。
それまでの区間がなかなか渋かったこともあって、興奮しながらロッドを振った。

今夜のおかずとする岩魚も確保して目的の渓泊地にたどり着く。
時間は4時ぐらいだっただろうか。
農ポリをササッと張ってとりあえずビールで乾杯。めちゃくちゃうまい。
落ち着いたところで焚火をおこす。
米も研いで水にひたした。

 渓泊地

岩魚の刺身と、おすまし仕立ての岩魚汁をメインに、摘んできた山椒の葉の佃煮、モツと皮のバターソテー、家から持ってきた行者ニンニクの醤油漬け、それと卵かけご飯。
どれも最高だった。

山椒の葉を煮詰める
おつまみセット

満腹になったあとはウイスキーをちびちび飲みながら、岩魚の焼枯らしを仕込んだ。

   焼枯らし

もう、雨の心配はなかった。夜空に星がよく見えた。
いつのまにかシュラフにもぐりこんで寝てしまっていた。

翌日、朝から快晴。
この日は昼過ぎまで釣ったら帰る予定だ。

朝ごはんに米を炊いて、半分を昨晩の岩魚汁の残りと合わせておじやに。
もう半分は焼枯らした岩魚を混ぜたおにぎりにした。
おにぎりは行動食として。

   卵を落としたおじや

9時過ぎから川に立つがまだ水温は低い。
昨日と同様、河原に寝転んで水温が上がってくるのを待った。
10時近くになってようやく動き出す。

渓泊地からしばらく遡行すると川は二俣に分かれる。
その二俣の右側の沢にまずは入った。

これまでの開けた渓相から一転、右側の沢は木が張り出して薄暗い雰囲気の沢だった。
それでも大小の岩がつくる落ち込みや小さなプールが点在し、いかにも岩魚がひそんでいそうな渓相だった。
両脇の岩には濡れた苔がびっしりと生えている。
滑らないよう気を付けながら慎重にロッドを振った。

まだ水温が低いままなのか、しばらくロッドを振るも目ぼしい当たりはない。
遠くの方に滝の落ちる音が聞こえてきた。

滝の手前、水の勢いが一段と激しくなった流れの中にある、岩と岩の間。
ゆったりとした小さな窪みに、ポトリとフライを落とす。
落とした瞬間、岩魚がバクッと口を開けて顔を見せた。
無意識にロッドをあげる。と、同時に鉤がかかっていた。
大きさは8寸ほど。
この岩魚が今回の釣行で一番強い引きだった。暴れながら元の岩の陰に戻ろうとするところを慎重にラインを手繰ってネットに収めた。



目の前の滝は比較的緩い傾斜で、左側から簡単に越すことができた。そのあと、1匹釣り上げてNさんと示し合わせて沢を戻ることにする。

二俣まで戻ったところで、どうせならということで今度は左側の沢を少しだけ釣った。こちらは開けていてロッドも振りやすく、途中までは流れも平坦だった。

すぐに6寸ほどの岩魚が釣れた。その後も4〜5匹釣るが、大物には出会わず終い。
12時を過ぎると、気温はずいぶん高く、緑に囲まれた川は春から初夏へと移り変わっていた。

後ろ髪を引かれながらも、また来ましょう、と言い合って帰ることにした。
昨日とは一転して明るい仕事道を延々と歩く。いつもそうだが、帰り道はやたらと長く感じる。

やっとの思いで車止めにたどり着いたあとは、コンビニに向かい、コーラ。
大げさではなく全身に染み渡るおいしさだった。
その後地元の温泉に入って帰途に着いた。

次に来るときもやはりこの季節を選んで来ると思う。




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