2015年11月4日水曜日

空見、空耳

過去に某SNSへ投稿した文章を転載します。




先週末、一人で渓流釣りに行ってきました。泊まりで。いわゆる渓泊というやつです。

山奥の谷間で一人のんびり釣りを楽しみ、開けた河原にビニールのタープを張って、小さな焚き火をおこして煮炊きをする。お酒もちょっと(?)だけ担いで、チビチビ飲みながら焚き火をいじるのは、やった人にはわかると思いますが、ちょっと、いやかなり楽しい行為です。

今年は素晴らしい出会いもあり、何人かの方と一緒に渓泊をしたり日帰り釣行もしたけど、今回は一人でした。なんとなく。

初日の釣りは雨に降られましたが、そこそこ釣れて大満足。寝床に決めた場所で、川で冷やしておいた缶ビールを飲みました。


夏至を過ぎたとはいえ、最近でも19時くらいまで明るいですが、土曜日は雨のち曇天だったので18時には薄暮の状態。水を汲みに川に近づくと視線の向こ う、だいたい50メートルくらい後方にタープが斜めに張ってある(ように)見えました。

ちょっと意外だったのは、大した支流も入ってないこの渓流で、先行 者の自分がいるのに後から入渓した人がいたということ。そんな人もいるのかな、くらいで、特に声もかけずそのまま自分の寝床に戻りました。食事も済んでそろそろ寝ようかと思っていたら、あいにくの雨が降ってきました。
風は無風に近かったのでタープで十分しのげそうでした。



遠くから女性の笑い声のような音も聞こえ、それと同時に男性の話し声のような音も聞こえたので、さっき見かけたタープには女性も含めた何人かがいるのか な、もしかしたら沢登りのグループか、と思いました。雨降りで幾分、不安になった気持ちも近くに人がいると思うと、ちょっと安心した気持ちになり、逆に がっかりした気持ちにもなりました。


グループの明日の行動予定を聞きに行くついでに、自分の先行を伝えに行こうかと思いましたが、明日の朝にしようと思い 直して戻りました。

雨は段々と強くなり、12時過ぎにウトウトしかけた時が一番強く降っていました。念のため荷物の整理でもしようかと起きかけると、またもや向こうのグルー プの方から笑い声が。こんな雨でもまだ宴会やってんのかよ、と思って呆れました。なんだか音楽のような音も聞こえます。


整理も済んだ頃には少し雨も落ち着き出し、それに合わせて眠気もまたやってきたので寝てしまいました。起きたのは周りが明るくなりかけた4時過ぎ。途中何度か、ふと起きたりしたのですが、後方のグループに抜かされた気配は感じませんでした。


コーヒーでも淹れようと水を汲みにまた川まで行き、ついでにグループがいた方を見てみると、そこにはタープはなく、代わりにそこにあったのはタープの大きさに似た、一部崩れかけた、かつて護岸していたと思しきコンクリートの壁のようなものでした。


薄暗い中でコンクリートの壁をタープに空見した自分の目の悪さと、なんだかんだで人が近くにいて欲しかった、という気持ちの表れか?といろいろ自分に対し て笑ってしまったのですが、でも夜中に確実に聞いたあの女の人の笑い声と男性の話し声、それと音楽はなんだったのかいまだに不思議な気持ちでいます。


ちな みに、2日目は夜中の雨で増水したおかげで岩魚がよく釣れましたので、抜かされて先行されたような気配はありませんでした…。
という、怖い話に振りきれない中途半端なビビり体験でしたw

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