2015年11月18日水曜日

2015シルバーウィーク釣行 前半

2015年のシルバーウィーク(9/20~23)、JさんとNさんの3人での釣行。

まくらとして以下、Nさんの計画当初、イベントページに載せた文章を引用したい。

「禁漁を目前に控えた大型連休。もう後がなく、ゾクゾク・ゾワゾワした釣行にすべく、〇〇沢のイベントを作成します。入脱渓に道無き道、情報ほとんどなし、尺の匂いがプンプンする、どの条件をも満たした魅力的な渓だと思います。先ずはこれの入脱渓をこのメンツ、この場で議論。他の渓を検討するにあたっては、これに匹敵するところにしましょう!!とにかく、これは遊びじゃないですね…」

この煽りを受けて奮い立たない源流釣り師がいるだろうか?

7月の前半くらいから打ち合わせ(SNSともつ焼き屋での飲み)を始めるという気合いの入れようで、だんだんと予定日が近づくにつれて気持ちの高ぶりはものすごく、今までの自分の経験を全てそそぎ込み、良い釣行にしたいと思った。

行き先はJさんが以前から目を付けていたという、新潟のとある沢。
とにかくアプローチが複雑で長く、現地に行かないとルートの判断ができそうにない目的地だった。

少ないながらもいくつか過去の釣行記を見つけ読んでみると、そこには40センチや50センチの岩魚が釣れたとの記録があり、期待もふくらんだ。

日程は前日の夜泊も含め4泊4日。自分にとって最長の釣行。食料と酒の計画もしっかり詰めないといけない。
食糧計画は練りに練った。

初日前夜、車止めで軽く飲んで寝る。
ビールやハイボールを買い込んだが、そこそこ冷えるため2本でやめておいた。
装備にも1本と思ったが、削ることにする。

翌朝5時過ぎに出発。途中でいくつか支流を渡り、休憩ポイントとなるピークから複雑に伸びる尾根に取りついた。
やはり、はっきりした踏み跡は確認できない。携帯のGPSを何度も確認しながら 慎重に登っていった。

その途中のこと、Jさんが天然の舞茸を発見した!ほどなくNさんも!!合計2株、しかも立派な。
痩せ尾根の為、下手にはしゃぐことは出来なかったが、一気に気分があがった。
自分は登るのに夢中でキノコに目を向ける余裕がなかった。お二人に脱帽である。

おびただしいシャクナゲをはじめとする藪をこぎつづけ、昼近くになってやっと最初のピークに着いた。時間も押しており、ササッと昼飯を食べてすぐ出発。

    藪の中

ピーク手前の藪漕ぎですでにうんざりしていたが、本当の藪漕ぎはここからが本番だった。

とにかく、あらゆる方向から様々な植物の枝が自分に向って伸びている。
その枝を、腕と手で倒し足で踏む、膝と腿で押しのける。全身をつかって漕ぎつづけた。

そんな状態の藪を進み始めて30分ほど。ふと現在地を見ようとズボンのポケットをまさぐると、入れておいたはずの携帯電話がない。ない!
念のため釣り具やらヘッドライトやら小物を入れておくポシェットの中も見るがない…。
どうやら途中で足を思いきり上げて枝を踏みつけた時に、するりと落としたらしい。

あの藪の中で。。。。しかも防水ケースで真っ黒な携帯を。一瞬、気が動転して戻って探せばすぐ見つかるのでは、という思いがよぎる。が、すでに時間も押している状態で1分でも惜しい。
しかも落とした場所はあの藪の中。

GPSも兼ねた携帯電話なくすことは、下手したら行動不能になる大失態である。
今後の反省、そして今回は自分の身代わりとしてあきらめることにした。
数年後取りにくることができたら来たいけど。  来年は無理だ。
(というわけで、今回掲載した画像は全てJさんとNさんが撮られた画像である。感謝。)

そしてその後も尾根筋を進む間、藪は続いた。
容赦はない…。
基本的に、Jさんが先行して引っ張ってくれたため、ギリギリの時間で進むことができた。 

藪漕ぎは最初、イヤでイヤでしょうがなったが途中からどうやったらうまい具合に押しのけて進めるか、というテクニックを試行錯誤しはじめて、楽しみを見つけた。
そして、ある程度自分のやり方とペースを掴みだすと、なにも考えないで進むことができた。
大げさかもしれないが、これまでの自分の限界を超えた瞬間だった。


とはいうものの、時間が押していることに変わりはなく、このままでは日没に間に合うかどうか、という時間とのせめぎあいの状態が続く。
ここで、一つの決断を下した。

当初計画していた尾根筋ではなく、沢筋を降りるという決断。
滝などの難所に出会う可能性もゼロではなかったが、今の進行ペースと疲労、水の補給などを考え、沢筋を降りていくことにした。

結果的にこれが正解で、途中3か所ほどロープを出したものの、藪が抜けた状態の沢筋をすすむことでペースもあがり、なんとか日没間際の17時半に目的の沢に降りることができた。


この時の達成感は言葉にできないほどだった。


幕営地を見つけ、荷物をおろすとへたり込んでしまった。
できることなら そのまま横になりたいところだったが、目の前に沢があればとりあえずは竿を出したくなるというもの。さすが生粋の釣り師、Nさんがいち早く竿を振り出した。

3人それぞれ散って晩御飯のおかずとするべき岩魚を求めに竿を振ることとした。
ほどなくNさんに1匹かかり、結果数匹の岩魚をおかずにすることができた。

その日の夕餉は舞茸と岩魚のフルコースで盛り上がった。
舞茸は普段食べなれている栽培ものとは比べ物にならないくらい香りと歯応えがよく、炊き込みご飯が絶品だった。

心配していたやぶ蚊も気温が下がるといなくなり、酒はもちろんうまいし、結果的に大成功の初日だった。

見上げると雲一つない夜空に満天の星。それを見ながら眠りに落ちた。
渓泊地。何とか日没までに間に合い、焚火をおこすことができた。

  焚火と天然舞茸ごはんと岩魚舞茸汁。(画像にはないが舞茸のバターソテーも)

二日目
快晴。気温もグングンあがり釣り日和となった。
朝から焚火で米を炊いてしっかり食べ、意気揚々と9時過ぎに釣り始めた。

沢の流れは水量も十分、速さもちょうど良く、川幅も竿が降りやすい。フライにお誂え向きな沢が目の前にあった。

とりあえず、3人で交互に本流筋を釣り上がる。今回用意したフライはイワイイワナとアント、カディスの三種。すべて#12〜#10の大きさ。

   天気は快晴。

まだ朝ご飯の余韻が残る中、Jさんが尺二寸(約36センチ)の岩魚を釣り上げた!
そして自分にも9寸岩魚が釣れる。Nさんも何匹か良い型が釣れている。

さらに期待は膨らんできたところで、急に視界のなかに見慣れない人影が入った。
沢装束の男性が一人。ほどなく後ろから二人歩いてきた。

そのうちの一人は何となく見慣れた顔、というかこの人。。。服部文祥(以下HB)だよ!!
最初に現れた人はカメラマンの、そして百名渓の作者丸山さん!
一人で声も出さず驚いていると、JさんがHBに「HBに似てるって言われませんか?」と聞いている。しかも本気のようだ。聞かれた本人は「言われませんねぇ」という返事w。

どうやら雑誌「渓流」の取材らしい。3人かと思っていたらだいぶ遅れてヘトヘトな1人が加わった。
HB遭遇でずいぶんとテンションは上がったが、4人パーティーとかちあってしまった。

いちおう、先行している自分たちに先に進むよう促してくれたが、「渓流」チームの計画を聞き話し合い、途中で本流筋を交代することになった。
交代した後は影響が少ないように遡行してくれるとのことだったが、どうなるか。。。。

多少の不安を抱えながらも目の前の流れに集中し、かつ楽しみながら釣りあがった。
ずっと先行していたかったがそうもいかず、途中で泣く泣く「渓流」チームと入れ替わることとなった。

その場で、せっかくHBに遭遇した記念ということで一緒に写真を撮ってもらった。
しかも丸山さんに。 みなさん気さくな人たちばかりで、出来ることなら焚火を囲んで酒でも飲みたかった。

その後、しばらく時間を置こうということになり、小さな焚火をおこしてソーメンをゆでた。
ソーメンは暑い盛りの時期が最高と思っていたが、9月でも渓流で食べると最高にうまかった。

    9寸岩魚。力強い引きだった。

そうめんを食べたあとはしばらく3人で釣り上がる。途中の支流にJさんが入るとのことで、そこからはNさんと交互にポイントを分け合った。反応はあるものの、渋い。釣れる型も落ちている。

どう考えても、先行された影響があるようだった。Nさんも首をかしげながら竿を振っている。やはりいくら気をつけて遡行してもらっていたとしても、影響は必至だったようだ。

15時を回ったところで一区切りとして、沢を戻ることにした。そのまま幕営地に戻るのではなくJさんが入った支流とは違うもう一本の支流に入ってみることにした。

入ってみてすぐに岩魚の走る姿が見える。早速フライを流してみると8寸ほどの岩魚がかかった。Nさんも立て続けに釣る。
さっきまでいた本流よりはスレていないようだ。小一時間ほど竿を振ったが、なんとか溜飲を下げる釣りになり、幕営地に戻った。

その日の晩は岩魚の焼き枯らしを仕込み、岩魚汁とごはん、ベーコンのソテーなどを食べた。ウイスキーの残量がすでに、ちょっと心配になってきた…。

本流も一晩おけば、反応も戻るだろう。そんな会話をして酒を飲んだ。

    Jさん考案のアラネット。岩魚汁の中に小骨などが入らず、最後まですくい飲むことが出来る。
  すごい発案だと思う。

その日の夜空も満点の星。Jさんが農ポリタープを用意してくれていたが雨の心配もないので前の晩に引き続きこの晩も張らずに焚き火の周りでゴロ寝するだけだった。夜露がおりてシュラフが濡れるのが気にはなったけど、明日の朝に日光で乾かせばいいだろう。そんなことを考えながら酔っ払って寝た。

3日目につづく。


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